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超感覚的!体内ドラマ [第6回]  じんぞう人間くん。

西暦2050年。小学校のクラスには1台、いや1人の「じんぞう人間くん」が配置されるようになった。人間界からイジメがなくならない。その対策として不完全なヒーロー「じんぞう人間」は作り出され、教育の現場に送り込まれた。

見た目は、冴えないおっさん臭い小学生。シワシワだらけの「じんぞう人間くん」。アタマの半分が、スケルトン。そこから、精密機械が見えている。それは、不完全な「良心回路」を持つことの象徴。優しい友達と悪い友達のはざまで苦しみながら戦う、複雑で、何かしら健気なヒーローなのだ。

「ヨウコちゃんがシンジくんをイジメています」

「ボクはニカイドウ先生が大嫌いだ」

「タヅルくんのお母さんは不倫しています」

「ミカサちゃんのお父さんの会社が倒産しました」

「カンナがなんかいけすかないです」

そんな友達の密告や、どうしようもないような心情の吐露が「じんぞう人間くん」には、日夜、寄せられる。その処理を、シワシワのヒーローは、健気に実行する。友達と正面から話し合う。親御さんに直談判しにいく。生徒会の運営にも積極的だ。職員室にも行って先生の相談にものる。人工知能が搭載された「じんぞう人間くん」はあらゆる問題に対処できる。謂わば、学校の〝ろ過装置〟。クラスの環境をキレイにすることに、全力投球。みんなが眠っている間も不眠不休で働いてくれる。どんなに忙しくても悲鳴などあげるはずもない。

・クラスの問題をろ過して、排泄する。

・生徒の心のバランスを調節する。

・友達の力関係を適正にコントロールする。

・会話を活性化させて、クラスを丈夫にする。

いまや日本の義務教育に、肝腎要の機能となった「じんぞう人間くん」。彼が居なくては日本に明るい未来はやってこない。

仲良くは、必須じゃない。理想だよ。だから、協力くらいはしよう。それが無理なら挨拶くらいでもいいよ。絶対無理なら、距離をおいても誰も何にも言いませんよって!!!

なぜ人を殺してはいけないのか!?なぜイジメはいけないのか!?なぜ体罰はいけないのか!?そんなもんならぬことはならぬものです。猫たちが港に集まるよりあきらかなことですって!!!

ウルトラマンのシワ。親父のパソコンに残されたエロ動画の履歴。おふくろの色気も何もない下着。しょーもない夫婦喧嘩。サンタさんからだと親がいいはるプレゼント。学校の担任の先生の舌打ち。職員室でのいがみ合い。可愛い同級生の鼻くそ。友達がこっそりウンコに行ったこと。子どもながらに、目をつむることを覚えさせるのが役割の1つだ。目をつむることの境目が、大人と子どもの境目だって!!!

「じんぞう人間くん」のアドバイスは、いちいち的確で、刺さる。友達の胸を鷲掴みにする。こうやってすごーく頼られるために、すごーく頑張る。辛抱が過ぎる。そうして、いつしか・・・。

「えっ!?じんぞう人間くんっ!?」

「先生!!じんぞう人間くんが動いていません」

文科省からの予算は、毎年、クラスに1人。「じんぞう人間くん」の替えはない。データを保存して移行した「新・じんぞう人間くん」がやってくるなんて思ったら甘い。こうなるとクラスのみんなの自浄機能で頑張るしかなくなる。みんなが「じんぞう人間くんならどうするだろう!?」と考えて動くようになる。

実は「じんぞう人間くん」が故障をしてからの生徒達の目覚ましい成長に、このプログラムの目的はある。「所詮子ども!!!なんて」という子ども騙しは一切なく、教育機関や正義の矛盾を伝えようとすることが大事であるという結論を、人工知能が導き出していたのだ。

子どもの教育は、多様で確かに難しい。とりあえず「早く大人になれ!!!」と支援する。嫌な大人の考える想定内の子どもほど気持ち悪いものはない。子どもたちの内にしか未来はない。その未来が拓ける機会を用意するのが「じんぞう人間くん」の役割だったのだ。

西暦2070年。会社には、1人の「じんぞう人間さん」が配置されている。会社のハラスメントを解決するために机に座っている。

しかし、その機能を果たすことは、ほとんどない。なぜなら、「じんぞう人間くん」のクラスメイトたちが、社会人の大半を占めるようになったからだ。自浄機能を「じんぞう人間くん」から叩き込まれた人間にとっては、「じんぞう人間さん」は、仲の良い同僚である。

「宇宙旅行のしおりを作っておいてくださいね」

「宇宙エレベーターの機内食は豪華なのをお願いね」

いまや窓際族となった「じんぞう人間さん」の仕事は、来月の社員旅行の幹事である。(おわり)

□腎臓の働き

 腎臓は、血液をろ過して余分な老廃物や水分を尿と一緒に排出するのが主な役割。

体内の水分量やイオンバランスを適正に保ち、体内を常に最適な環境にする機能があります。一方でとても辛抱強い臓器でもあり、機能が低下しても自覚症状が出ない場合がほとんどのため、定期的な検診が重要です。